５・人情大作戦! (出番だ、ばあちゃん！）
子羊達の夢と希望が詰まった“良さげな腰痛ベルト”を箱から取り出した兄ちゃんは、それを我々の前に広げてみせると、それが如何に今迄の商品と違って画期的なのかの説明を始めた。
『病院でも医療用のって高価いの売ってるんですけど、あれってちょっと硬いんですよねー。』
ここで、子羊が反応。
「そうそう、角があたる所が痛くなっちゃって・・・。」（らしいですよ？病院関係者の方々）
やはり、御年を召すと腰痛は共通の悩みらしく、俄然ギャラリーの喰いつきが良くなってくる。兄ちゃんはここぞとばかりに、“今回新開発したなんたらベルト”の効能を嬉々として解説している。私には解らないが、従来の磁石を使うタイプよりも軽く、素材が柔らかい為に着けてて楽、効き目も強いらしい。
なんと言ってもトルマリン使ってるからなー。マイナスイオンがなー。違うんだろうなー。ま、私には良く解らないけどさー。
ここで、“ソニック前から何故か合流した婆ちゃん”がいよいよ話しに入ってくる。
「私も腰痛で、今まで酷い目に遭ってきた。でも、妹の方がもっと酷くてねえ。私はね、自分の事よりも“妹の為”にいい腰巻きをずっと探してるんですよ。これならあの娘も喜んでくれるかねえ。｣
自分の事はいい、妹の為に。何とも泣かせる話である。(話の展開が多少強引かつ不自然だったものの。）
ポイントは“妹の為”である。周りからも、うちもおじいちゃんがねえ、とか両親がねえ・・・とかの声が上がる。本人だけじゃなく家族分も買わせるハラなんだね。
商売ッスね！なるほどね！
と感心してたら買わせたい商品はこれではなかったらしい。だって続けてお兄ちゃんが言ったんだ。
『この膝当ても、全員分には数が足りないけど、今日わざわざここまで話を聞いてもらった事だし、モニターとしてお配りしようかと思うのですが。』
｢おおーっ｣（パチパチパチ）
え？くれちゃうんだ？？タダなら欲しいぞ。巧く調教されたアシカの様に拍手しまくる我々。今までの流れからすると、リアクションの良いのが貰える確立大だもんね。でも、もちろんすんなりとは貰えないのである。ここで配られたのは“サポーターと一緒に使うと効果倍増”の小型マッサージ器。裏を返すとなんしかダイソーって書いてある事に気がついちゃったのは・・・突っ込んだらいけないんだろうな。やっぱり。