7・怒涛のクライマックス!!!
うんざりする程の能書き。うんざりする程の同じ事のくりかえし。それが2時間
を越える拘束と昼前に自由を奪われた空腹、ストレスの効果で今姿を変える。
スチャッ!(決めポーズ)
「変・身っ!」
じゃじゃーんっ!!(効果音orテーマ曲)
もうお解かりですね?そう。
モード・チェーンジッ!
THE・洗・脳♪(シャキーッン)
そして迎える怒涛のクライマックス!! (一気にお読みください。)
『お金も使わないで、本当に健康になれると思いますか?』
「思わない!」
(本気で洗脳状態の人と早く帰りたいヤケクソ組のシュプレヒコール)
『高い買い物をしたから、騙されたんだ。返してこいと言われるかもしれない。でも、痛いの家族じゃない。自分です。家族に言われたからって、あなたは本当に健康になれる素晴らしい商品を返しますか?』
「返さない!」
(う、巧い!クーリングオフ防止策だ!)
ここで、さくらのお婆ちゃんの駄目押し。
「私の事はいいの。でも、“妹の為”に。本当にいいものなら、私は定価でも買うわ。“妹の為”に!」
くーっ、泣かせるねえ。 更にお兄ちゃんも、他の店員さんもトントンとたたみ掛けるように
『1枚2,000円のトルマリン繊維が400枚も入った布団がこの値段なら?』
「安い!」
『さらに、24個の強力な磁石と国産シルクの表地で!』
「安い!」
『しかも今なら、モニター価格で!』
「安い!」
『あなたならこの健康布団“雑”を?』
「買う!」
(残念ながら、私ここで戦線離脱しました。 ウソはいけないしー。布団買わなきゃ膝サポーターは貰えない事悟ったし。)
『マイナスイオンを発生するのは?』
「トルマリン!」
『更に中には強力な?』
「磁石!」
『表地は高級な国産の?』
「シルク!」
『この布団の名前は?』
「雑!」
『もう1回!』
「雑!」
『もう1回!』
「雑!」
『最後にもう1回!!』
「雑!」
『健康布団“雑”はペースメーカー御使用の方以外の全ての方に安心して副作用も無く御使用頂けます。』
やれやれ・・・。
そして、全員に“中に味噌を入れておくと減塩味噌になる”トルマリンタッパー"(これも 100円ショップで売っとるがな。)布団を買ってくれそうな順に膝サポーターが配られ 、一緒に契約書みたいなモノとボールペンが!腰痛ベルトは、貰ったら布団買わんといかんらしい。良かった、貰えなくて。
そして、残念ながらここで社員のお姉さんに
『帰って良いですよ。』
って言われちゃったから、その後部屋に残された厳選子羊4名がどうなったかは解らないのである。48万円の布団はその日何組売れたのか?買わずにあの部屋を出る事が出来たのか?家に帰っておじいちゃんや嫁に怒られなかったのか?気になる所であるがもはや知る術はない。
しかし、
「いやー、いいもん見たなー。」
私は満足である。生でプロのセールストークを聞く機会なぞ滅多に無いのだから。それに、何だかんだ言って貰う物はあらかた貰ったのだし。でも、
“疲れるから、2度と行かない。”
つもりである。3時間の拘束は気力も体力も消耗したし、何よりも、バックに入りきらなかったからって剥き出しのピンクのタッパーを小脇に抱えて夕方のラッシュの宇都宮線に乗るのは迷惑だったし恥ずかしかったのだ。
こうして私の初めてのキャッチセールス体験は終わった・・・。もんの凄い疲労感と冷房過剰による寒気を残して。
今回の体験の反省と次回への改善点など →